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地域のエネルギーは地域で使おう!

 

 地域には自然エネルギーがたくさんある。

 地域の自然エネルギーを地域が主体になって使えば、大きな可能性がある。地域には資源がないといわれていたけれど、自然エネルギーは地域の夢の資源である。安全であるし、平和でもある。世界の戦争が資源をめぐる戦争であったことを思えば、地域に根差した自然エネルギーを使うことは、平和にもつながる行為でもある。

 都会が優位であった時代が終わるのだから、これだけでも面白い。だけど、自然エネルギーの開発には辛抱がいる。よその人にとられないようにすることも大事だし、自分たちが中心になることも重要である。技術が確立されていないことも認識しながら、技術開発(イノベーション)を行いながら進む必要がある。

 

私たちのグループが、宮崎県の五ヶ瀬町、福岡県の白糸の滝で取り組んできた取り組みは、地域の自然エネルギーを地域で使い、地域づくりに役立てるための取り組みである。これらの取り組みは、予想をはるかに超えた、面白い取り組みである。

 

地域の主体力は発電量に比例しない 

 私の研究室に九州大学の21世紀プログラムに所属する仲野美穂さんがやってきたのがちょうど5年前になります。彼女が学部の3年生の時に研究室にやってきました。4年生、それから修士1、2年、計4年間を朝倉のプロジェクトにほぼどっぷりとつかりながら、大学大学院生活を送り、そして成長していきました。

 仲野さんの修士論文の興味深い図を紹介したいと思います。横軸を時間経過、縦軸を地域の主体力を示しています。この図は仲野さんと私たちが何度も何度も話し合って作ったお気に入りの図です。時間の経過を経るにしたがって、地域の主体力が上がっている様子が描かれています。途中、一部の方の主体力が急速に上がり、あまりそうではない人と主体性に差が付きますが、突出した人に引っ張られるように皆の主体力が上がっていきました。

 主体力の測定は難しいのですが動詞で計ることにしました。地域の方々の活動を観察していると、動詞が変化していくことに気づきました。見ている⇒川に入る・ヒアリングをする⇒作る⇒集める⇒見せる・視察しに行く⇒開催する・人に教える・視察を受け入れる⇒地域のビジョンを描く。このように、朝倉の方々の行動が徐々に主体的になっていきました。ただ見ていた人たちが、人に見せるようになり、地域のビジョンを描くようになりました。

 こうして私たちは朝倉の人たちから「地域の活力、幸せ感は発電量に比例しない」ということを学びました。

 私たち九大の小水力チームは地域のための小水力を合言葉に仕事をしていますが、朝倉の方々に「地域のために」とは、「学びのプロセス」であり、「自分たちのことを自分たちで解決できる主体力の形成である」ことを学びました。本当に感謝しております。

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