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加藤清正の治水五則

熊本で川の仕事をしていると、加藤清正の名前をしばしば聞く。400年も前にも関わらず驚くべきことである。清正は治水五訓を残しているのであるが、これがなかなか素晴らしい。その内容を見てみたい。

一、水の流れを調べる時に、水面だけではなく底を流れる水がどうなっているか、とくに水の激しく当たる場所を入念に調べよ。(⇒川底と表面の流れが違うのを意識している。特に湾曲部では流れがねじれることを良く意識している。湾曲部の水衝部についても十分に意識がされている。)

一、堤を築くとき、川に近いところに築いてはいけない。どんなに大きな堤を築いていても堤が切れて川下の人が迷惑をする。(⇒堤とは堤防のことですが、川の近くに作ってはいけないと言っている。江戸時代に作られた佐賀の千栗堤などを見ていると川からかなり離れたところに堤防を作っている。堤防とは氾濫した時に住宅や農地を守るための構造物と認識している)

一、川の塘や、新地の岸などに、外だけ大石を積み、中は小石ばかりという工事をすれば風波の際には必ず破れる。角石に深く心を注ぎ、どんな底部でも手を抜くな。(⇒塘と堤は違うことが分かる。水に直接接する盛土を塘と呼んでいるようである。角と河床に気を付けるというのはまさにその通りである。護岸の破壊のほとんどは河床の洗堀からである。

一、遊水の用意なく、川の水を速く流すことばかり考えると、水はあふれて大災害を被る。また川幅も定めるときには、潮の干満、風向きなどもよく調べよ。(⇒これは重要ですね。いろいろなところで水を遊ばせること、すなわち氾濫させたり、貯留させたりすることの重要性を述べている。また、風向きによっては水が吹き寄せられて水位が上がることを知っている。すごい。前半部は特に流域治水の要点です)

一、普請の際には、川守りや年寄りの意見をよく聞け。若い者の意見は優れた着想のようにみえてもよく検討してからでなければ採用してはならぬ。




加藤清正 治水五則

一、水の流れを調べる時に、水面だけではなく底を流れる水がどうなっているか、とくに水の激しく当たる場所を入念に調べよ。

一、堤を築くとき、川に近いところに築いてはいけない。どんなに大きな堤を築いていても堤が切れて川下の人が迷惑をする。

一、川の塘や、新地の岸などに、外だけ大石を積み、中は小石ばかりという工事をすれば風波の際には必ず破れる。角石に深く心を注ぎ、どんな底部でも手を抜くな。

一、遊水の用意なく、川の水を速く流すことばかり考えると、水はあふれて大災害を被る。また川幅も定めるときには、潮の干満、風向きなどもよく調べよ。

一、普請の際には、川守りや年寄りの意見をよく聞け。若い者の意見は優れた着想のようにみえてもよく検討してからでなければ採用してはならね。


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